映画『ツリー・オブ・ライフ』の不思議

 テレンス・マリック監督は、これで本年度カンヌ国際映画祭パルムドール賞に輝いたが、『天国の日々』や『シン・レッド・ライン』ほか、本作品を含めこれまで5作品しか発表していない。マスコミが嫌いなようで、メジャーな場にはほとんど顔を出さず、“伝説の監督”と呼ばれている。この新作にショーン・ペンとブラッド・ピットが競演した。

 面白いようで、どこか退屈、でも、なぜかじっと目が離せない2時間18分。1950年代半ばのアメリカ・中央テキサスの田舎町。ブラッド・ピットが父権を振りかざしつつも情緒不安定な父親を、その3人の息子のうち、成長し熟年になった長男をショーン・ペンが演じている。息子たちが少年だった頃と、長男の現在を行ったり来たりしつつ、間に、天地創造を表すような映像が大きな比重を持ってはさみ込まれる。

 宇宙の中の地球の姿、水中の中で進化していく微生物、そして恐竜まで出てきた時にはさすがに驚いた。ほとんど自然環境映画のような場面も。で、監督がメッセージしたいところをいろいろ考えてしまう。エンディングやそれまでにも時おり出てくる不思議なチラチラする炎のようなミステリアスな存在の意味するところも。

 カトリックは進化論を否定してきたが、1996年にローマ法王がそれを認める声明を発表し、現在は「神は進化によって創造された」という立場に立っているという。この映画もそこに立脚しているのかなと思う。3人の息子のうち次男が19歳で亡くなったという衝撃が、この家族を引きずっているのだが、死因は説明されず、過去の映像はいつも少年時代の頃ばっかりというのが、どうも疑問ではある。大嫌いだった父親に、想像の世界の中で(?)和解するかのような長男の姿もようワカランのだけど。

 それでも、なぜか魅力的な映画だったなと思うのはなぜだろう。マリック監督はあえて有名女優を使わず、主に舞台でキャリアを積んできたジェシカ・チャステインを母親役に起用。ナレーションも務めているが、このひとの“光”はこの映画の重要なエレメントだ。愛を体現する存在として大きな位置を占めている。

 人は、いつかあっちの世界に行った時、懐かしいひとたちともし会えるなら、どのように会い、こちらの世界をどのように想うのか。あっちへ行けば、もう、こっちのことなどどーでも良いことなのか、とも思ったりしたのだけれど。“ハリウッドを代表する”というキャッチフレーズで飾られるふたりだけど、個人的には、ピットさんよりペンさんのほうが断然いいな。

 あなたに素敵がいっぱいありますように。

 

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック

  • 映画「ツリー・オブ・ライフ」善き人であろうと、もがきながら生きている

    Excerpt: 「ツリー・オブ・ライフ」★★★★ ブラッド・ピット、ショーン・ペン、 ジェシカ・チャスティン出演 テレンス・マリック監督 138分、2011年8月12日より公開, 2010,アメリカ,ウォルト・ディ.. Weblog: soramove racked: 2011-08-25 07:11
  • 「ツリー・オブ・ライフ」 万物の理

    Excerpt: テキサスのとある家族の生活を描きながら、人とは、生命とは、宇宙(世界)とは何か、 Weblog: はらやんの映画徒然草 racked: 2011-08-28 10:02
  • 『ツリー・オブ・ライフ』 信仰があれば幸せなのか?

    Excerpt:  エデンの園の中央には、二本の木が生えているという。  一つが知恵の樹、もう一つが生命の樹(Tree of Life)である。  『旧約聖書』の『創世記』に登場する生命の樹は、孫悟空が食べた蟠桃(.. Weblog: 映画のブログ racked: 2011-08-30 22:43
  • ■映画『ツリー・オブ・ライフ』

    Excerpt: 太古の昔、宇宙の始まりから連綿と続く、いのちの営みを、美しい映像で描き出した唯一無二の映画『ツリー・オブ・ライフ』。 ブラッド・ピットとショーン・ペンという二大俳優が出演している本作ですが、この.. Weblog: Viva La Vida! <ライターCheese の映画やもろもろ> racked: 2011-10-12 21:26
  • 映画『ツリー・オブ・ライフ』を観て

    Excerpt: 11-53.ツリー・オブ・ライフ■原題:The Tree Of Life■製作年・国:2011年、アメリカ■上映時間:138分■鑑賞日:8月27日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ(六本木)■料金:1,8.. Weblog: kintyre's Diary 新館 racked: 2011-11-05 23:24