すさまじい暴風だった今日は、一日閉じこもって仕事し、あり合わせの食材や残り物で4品作って夕食。それを食べながら、夕方のニュースを観ていたら、またもや映画館に関するサビシイ話題だった。 大阪市東住吉区の55年の歴史を持つ『タナベキネマ』が3月31日で閉館に追い込まれたという。ここは、全国ロードショーから時間がたった邦画や洋画を2本立てで見せてくれて大人1600円、梅田にかつてあった大毎地下劇場を思い起こさせる100席ばかりの映画館だった。映画館に足を運ぶ人が少なくなったというだけでなく、ここが閉館になった背景に、映画配給のデジタル化が大きな要素としてどんと在る。デジタル化に対応するには、1台1000万円ぐらいかかるという機械を導入せねばならないのだ。観客が減り、人件費も切り詰めている小さな映画館で、それをどうやって捻出せえというのだ。3月30日には、天神橋六丁目の『天六ユーラク座』も幕を閉じた。あそこも庶民的でレトロないい映画館だったのになあ。 『タナベキネマ』の支配人であり、ずっと映写機を回していた岡秀生さんが、残念とか諦念とかを超越した笑顔でこのようなことを語っていた。「フィルムならではの、映像の深みや奥行きがあるんです。デジタルでは3Dを使わないと、その奥行きが出てこないんですが…」。 35mmフィルムならではの深み、奥行き。映画ファンならすぐにわかるだろう、あの、何ともいえない映像の空間性。人類が産んだ、本当の意味での世界遺産が、こうして失われていくのか。リュミエール兄弟やジョルジュ・メリエス、チャップリンやエイゼンシュテイン…そのほか天国にいる多くの映画人は、呆れていることだろう。 お金と力を持った者だけが生き残っていくようなこの風潮、大資本のショッピング・モールに追い払われる地元の商店街と同じだ。地元に根付いて会話を交わしながら常連さんと絆を育んでいく、そんなことはシネコンなどには全く期待できないというのに、こうして、貴重な空間が段々と閉ざされ、そして人と人の心のキャッチボールがなくなっていく。せめて、共存できる道はないものか。 平坦な映像など観たくない、と声を大にして言いたいが、いつかそういうものにも慣れていくだろう人心を想う(私も含めて)。寂しいとは、こういうことなんだけどな。 あなたに素敵がいっぱいありますように。 |
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ちょっとお久しぶりです。 |
よろづ屋TOM 2012/04/05 15:05 |
TOMさん、毎度おおきに!です。 |
猫式部 2012/04/06 23:10 |
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