映画「ずっとあなたを愛してる」

 冒頭、閑散とした空港で、ひとりの中年の女が煙草を吸っている。どこか投げやりで、寂しそうで、体全体からため息がもれているような、その表情に目が捕らわれる。
 この映画のヒロイン・ジュリエットを演じているのは、『イングリッシュ・ペイシェント』でもヒロイン役だったクリスティン・スコット・トーマスである。以前は、冷たそうなまなざしがあまり好きにはなれなかったのだが、本作における彼女の表情の一つひとつは、なんと魅力的なことだろう。、『イングリッシュ・ペイシェント』から13年という時が流れ、女優といえども、老化は平等にやって来る(リフトアップとかにお金をかけていようともね)、だが、女優という一見華やかな肩書きがあろうが、平凡な毎日を送るひとであろうが、年齢とともに、「あれっ!」と目を見張るほど素敵になっていくひとが、やっぱりいるんだなあ、と改めて感じた。付け加えるなら、シャーロット・ランプリングなどもその一人だ。フランソワ・オゾン監督作品『まぼろし』のランプリングはホント、硬質の美しさ! すごく素敵だった。同監督作品『ぼくを葬る』に出演していたジャンヌ・モローまでいっちゃうと、宇宙人のようで少し哀しくなりはするのだが。
 横道に逸れてしまった。本作は、ひとりの女の心の旅路である。ジュリエットにはある秘密があって、それは物語の進行により、少しずつ明らかにされてくる。妹とのぎくしゃくした関係を作った彼女の過去、隠された真実などが、今を生きる彼女と15年以上前の彼女との間を振り子のように行ったり来たりする物語によって、一つひとつ開示されていき、頂点に達した時、観る者は彼女の、その生きてきた道、周囲にはけして理解されない決断、ひっそりと彼女のそばにあり、たぶんこれからも彼女の一番の親友であるかもしれぬ孤独を、思わず抱きしめたくなる。
 誰もが、罪を犯す機会と全く無関係ではない。ラストのせりふ「私は、ここにいる」の重さよ!

 2010年1月から大阪はテアトル梅田、順次京都は京都シネマ、神戸はシネ・リーブル神戸で公開予定

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